観
観のレビュー
総合
結論
序盤の印象は「推理ミステリー」。怪奇に見えた事件も、蓋を開けば人間関係の歪みが原因だった。
しかし後半に突入した瞬間、勝手に組み上げていた「常識」が一瞬にして崩壊する。
前半で感じていた釈然としない感覚すら、計算のうちだったのではないかと思えてくる。
良かった
引っかかった
藤原竜也主演のドラマ『全領域異常解決室』を観た。
序盤までの印象をひとことでいえば「推理ミステリードラマ」。怪奇現象のように見えた事件も、蓋を開けてみれば、人間関係の歪みや隠された思惑が原因だったと明かされる。結局、すべては人間の業。異常なのは人間の方なのかもしれない。事件ごとに巧妙に仕組まれた伏線、緻密に積み上げられた論理的な推理など、純粋なミステリードラマとしての魅力にあふれた作品であった。
しかし、どこか釈然としない感覚が残る。ミステリードラマとしては、少し薄さも感じる。そして何より疑問に感じたのは、「全領域異常解決室」というタイトル。「結局、怪異なんてなかったのか?」と。
物語の序盤から散りばめられていた超常的な出来事も、すべて説明可能な範囲に収まっている。科学的根拠、心理的なトリック、偶然の積み重ね。そうした要素によって、奇妙に見えた事件がひとつひとつ解決されていくたびに、「本当にこれで終わるのか?」という疑問も頭をよぎる。怪奇を扱う作品だと思っていたのに。
しかし、その違和感は、物語の後半に突入した瞬間、衝撃とともに払拭されることになる。まさか、前半すべてが「フリ」だったとは。ここから一気に物語がひっくり返る。今まで作品の世界に対して、前提として勝手に組み上げていた「常識」が一瞬にして崩壊する。
そして物語の様相がガラリと変わっていく。前半が全て伏線となるのだ。そしてそれぞれが異なる意味を持ち始める。前半で積み上げられたすべてが、新たな視点から再構築され、物語がまったく違う表情を見せる。いや、全く別の作品になってしまった。
そこからの展開は怒涛の連続だった。物語のギアが一段も二段も上がり、後戻りができないまま、視聴者は強制的に引きずり込まれていく。伏線の回収が鮮やかで「そうだったのか!」という驚きとともに、次々に新たな展開が押し寄せる。その勢いに圧倒されながらも、「どうなるんだ?」という興奮が抑えられない。
前半のミステリードラマに少し退屈感を感じていたのが嘘のように、いやそれすらも伏線となっていたかのように、高揚感を感じながら、スリリングなエンターテインメントが出来上がる。
まるで、一作品で二作品分楽しんだような感覚。前半は「王道のミステリー」として楽しみ、後半は「未知への探求」としてワクワクしながら見続ける。ここまで鮮やかに物語の方向性を変えながらも、それが破綻せずに最後まで引っ張っていく構成力の高さには驚かされた。
そして、最終的にひとつの結末へと収束していく。その流れが見事で、終わった後には、ただただ圧倒される。そして気づけば、前半で感じていた釈然としない感覚すらも計算のうちだったのではないかと思えてくる。この作品は、視聴者の心理まで巧みにコントロールしながら、完全にその世界に引きずり込んでいく。
エンターテインメント作品として、見たことのない「型」で、最高に楽しめた作品となった。
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